学術用途で電子書籍を使うために

学術用途(引用)の際に電子書籍を利用するとき、物理書籍との違いから問題が生じます。それについて何とかしようというお話です。目立つ問題は2つあるので、順番に考えていきます。ちなみに1つ目はちゃんと解決しますが2つ目はグダグダで終わります。

 

問題ひとつめ:ページについて

引用の際にはページの情報が必要ですが、電子書籍について考えるときにはこれがまあまあ大変な問題となります。電子書籍のタイプによってはページ情報がなくなって(物理書籍とは別のものになって*1 )しまい、引用なんてどうすりゃええねんとなってしまいます。

以下電子書籍のタイプについて簡単に説明します。電子書籍にはリフロー型と固定レイアウト型があり、詳しくはAmazonこちらに上手いことまとめてくれているのですが、簡単に説明すると以下の通りです。

リフロー型

・端末の大きさに合わせて文字のサイズが変わる。1行辺り、1ページあたりに表示される文字数も変わる→ページ数という概念がない

固定レイアウト型

・pdfをそのまま読むようなイメージ

・文字のサイズが変えられない→画面いっぱいに1ページが表示されるため、端末が小さいと読みにくい

・(書籍のデータがそのままであれば)ページ数が書かれている

以下の書籍はそれぞれの例です(無料サンプルを見てみてください)。

リフロー型の例:言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

固定レイアウトの例:日英対照 文法と語彙への統合的アプローチ

さて、kindleでは固定レイアウトの本もあるもののリフロー型の書籍が多いため、電子書籍で買うと引用しにくく、電子書籍では買いにくいという問題があります。ジッサイ、引用に使えないから電子書籍じゃなくて紙で買ってるぜという人も多いのではないでしょうか。

そこで、このリフロー型or固定レイアウト型のジレンマを打ち破ってくれるのがこちら、Google Play Booksです。kindleとは異なり、リフロー型と固定レイアウト型の2形式で提供されていることが多く、ページ数を使って引用することができます。便利!

 

問題ふたつめ:版の問題

ここまで書いておいて何なんですが、そもそも電子書籍を正とした引用って問題ないんでしょうか?電子書籍の便利ポイントの1つに、問題があった時に簡単にアップデート、修正ができるということがありますが、逆に内容の同一性を担保しにくいという問題があるということにもなります。また、固定レイアウト版は物理書籍をそのまま使っているような感じですが、本当にそうなのかはわからないので、実は紙では存在しない第〇版的なものなのかもしれません。いやでもそしたら電子書籍から引用する際にはどこどこでいつ買った書籍だよと書いておけば良いのかな?どうなんでしょう。

これについては使用者が上手いことやって何とかなる問題ではないのでどこかがちゃんとどうするべきなのかを明確にしてくれれば良いのですが(実はもう出てたら申し訳ないです)、そうなるまではとりあえずは電子書籍版買って固定レイアウトのページを使ってとりあえず引用→図書館で確認みたいな動きが良いのでしょうか…無駄極まりないので上手いことなることを願っています。

 

2つ目の問題は良くわからないままで終わってしまいましたが、1つ目の方の解決策であるGoogle Play Booksは非常に便利なのでぜひ使ってより良い外出自粛生活をお過ごしください。

*1:電子書籍にもページ数に当たる行番号的なものが存在しますが、各所で統一されてない(はず)なので使うのは難しいです