「(略称)トランスヒューマニスト党」に見る隠れた選挙ハック

2020年東京都知事選は色々と選挙ハックがありました。特に、ホリエモン新党が3人連続立候補、そのうち2人は顔写真を載せずに真ん中の立花孝志氏を目立たせるという豪快なハックは(許可を取っていないはずの堀江貴文氏が写真に載っていることも含めて)選挙公示日に大きく話題になりました。

そんな中で選挙当日。投票所で「政党名に「スーパークレイジー君」という文字が書いてあるの面白いよな~」とか思いつつ政党名・立候補者名を見ていると、後藤輝樹氏の政党名に「(略称)トランスヒューマニスト党」と書いてあることに気が付きました。

何だ略称って?と思いつつ調べると後藤輝樹氏のウェブページにはどこにも正式名称っぽいものが見当たらず。どうやら選挙公報のある部分が正式名称らしいということに行き当たりました。

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「(略称)トランスヒューマニスト党」の正式名称は「「愛してる」という挨拶を日本に普及し、霊氣(レイキ)の義務教育必修を目指す、この国の表現の自由を守る愛国左翼トランスヒューマニスト党featuring世界政府@地球幸福」らしいです。

さて、最初にこの選挙公報を見たときには単に政党名周りに書いてある煽り文だと思って政党名だとは思っていなかったのですが、この選挙公報の氏名欄、実は「東京都選挙執行規程」第五十五条(掲載文の書き方)第五項で書けることがしっかり決まっているようです。

 5 氏名欄には、候補者の氏名(令第八十八条(衆議院小選挙区選出議員の選挙における立候補の届出書又は推薦届出書に記載すべき事項等)第八項(令第八十九条(衆議院議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙における立候補の届出書又は推薦届出書に記載すべき事項等)第五項において準用する場合を含む。)の規定による認定を受けたときは、その認定を受けた通称)、年齢及び所属党派(所属党派がない場合は、無所属と記載し、又は記録することができる。)以外は記載し、又は記録することができない。

 カッコを除くと、「氏名欄には、候補者の氏名、年齢及び所属党派以外は記載し、又は記録することができない。」となります。以上から、単なる煽り文だと思っていた「「愛~」が実は正式名称らしいということが分かったわけです。

ということで、政党名をいたずらに長くすることで、本来は氏名・年齢・所属党派しか書けない部分にその政党が目指すものを詰め込むことを成し遂げていたわけです。システムハック好きとして選挙当日に気が付けて良かったです。

皆さんも政党を作るときは政党名を長くすると氏名欄に主張を載せられますよ!